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麻耶雄嵩作品の浸かり方

2017年4月期の月9ドラマが貴族探偵に決定しました!おめでとうございます!ありがとうございます!麻耶ファンの同志のみなさん!火のないところに煙を立て続けた成果(?)がついに出ました!やったね!!

貴族探偵とは原作・麻耶雄嵩本格ミステリで、私はいわゆる原作ファンです。麻耶作品は絶版も多いし映像化に向かない作家と言われ続けていたので晴天の霹靂というか、何か原作付きのミステリが映像化するたびに、麻耶作品の映像化も見たいね〜まあ無理だよね〜というのがお約束の流れみたいな感じだったので本当に夢のようです。

しかも月9で、それも社運かけたとかいう噂で嵐の相葉くん主演だし、ほかの役者さんもえらい豪華だし、主題歌嵐だし…今でもちょっと信じられないくらいです。相葉くんの御前さますごく楽しみです。きっと新しい雰囲気の相葉くんが見れると思います!

主題歌の初回限定盤もさっそく予約しました。どんな歌か今から楽しみです。ありがとうフジテレビ…人生が最高に楽しいです…企画通ったパワポ見たい…

千載一遇の麻耶作品布教チャンス!アタックチャンス!!ということで、貴族探偵で麻耶雄嵩を初めて知って、貴族探偵やほかの作品も読んでみようかなと思っていただいている方向けに、私の独断と偏見をもとにオススメの読む順をまとめてみました。(というか行動の早い嵐ファンの方がすでにいろいろ読んでくださってるようなのでかなり出遅れてしまった感はあるのですが…(^^;))

というのも、作家・麻耶雄嵩を初めて知ったという方も多いと思いますので少しご紹介すると、探偵とは何か、ミステリとは何かを常に作品を通じて問い続ける、そんな作家です。麻耶作品には登場する探偵が多いのですが、それは探偵とは何か?を探求し続けた結果だと思います。

ただ、それゆえ作品もマッドサイエンティストのごとく少々過激な実験的要素が含まれることが多いので、読む順を間違えるとわりと簡単に死にます。

真冬にプールに準備運動もせずいきなり飛び込むと心臓麻痺を起こしますよね?鬱蒼と茂るジャングルに無装備で入ると彷徨いますよね?それと同じです。

前置きが非常に長くなってしまいましたが…それではロジックに大きく身構えて〜不条理とカタルシスに少しずつ身体を慣らす運動〜〜〜

 

1. 貴族探偵

言わずもがな、ドラマの原作本です。麻耶作品の短編は比較的読みやすいし、その中でも貴族探偵はロジックも比較的オーソドックスなので麻耶の入り口としてもミステリの入り口としてもいいと思います。ちょっと探偵の概念が揺らぎますが、そこはいったん置いておきましょう。麻耶作品を読み進めていくとこの程度ささいなことだと思えます。大丈夫です。

 

2. 貴族探偵 対 女探偵

貴族探偵シリーズ二作目です。ドラマはこの作品も含まれるので予習がてらにどうぞ。個人的にこの最後の収録作が相葉くんで見れるのすごく楽しみです!絶対めちゃくちゃかっこいいと思う…

 

3. 名探偵 木更津悠也

貴族探偵を読み終え、他の麻耶作品も読んでみたい、という方にまずオススメしたいのがこちら。名探偵・木更津が活躍する短編集です。

麻耶作品に登場する探偵はたくさんいますが、その中でおそらく一番まともで常識人なのが木更津です。世間一般的な名探偵のイメージにもっとも近い探偵ではないかと思います。なんといっても木更津かっこいい!

この作品もオーソドックスですんなり読めると思いますし、若干実験的な部分もあるので麻耶先生のミステリへの向き合い方が垣間見えやすいのではないかと思います。助手の香月くんが中々の曲者で、一味違った探偵と助手の関係性が楽しめます。

 

4. メルカトルと美袋のための殺人

『銘』探偵メルカトル鮎が華麗に活躍する短編集です。このあたりから徐々にストーリーもロジックも一筋縄ではいかない雰囲気になってきます。この作品が楽しめたらだいぶ麻耶ワールドに馴染めていると思います。

メルは麻耶作品に登場する探偵の中でもかなり人気の高いキャラクターです。常に着用しているタキシードとシルクハットがトレードマークで、自信過剰毒舌傲慢悪徳非道天上天下唯我独尊を地でいくかなりエキセントリックなキャラクターですが、それでいてタキシードとシルクハット姿で王将に行ったり、寝るときにぼんぼん付きナイトキャップを被るなど、どこか愛嬌のある憎めない探偵です。助手の美袋三条と仲良いのか悪いのかよく分からない関係性も魅力です。

集英社文庫のあとがきにこのあと紹介する翼ある闇の重大なネタバレがあるのでご注意ください。

 

5. まほろ市の殺人〜闇雲A子と憂鬱刑事〜

真幌市で起こる連続殺人のお話。中編くらいですが、使い切りがもったいないほど個性的なキャラクターで織り成され、軽快なテンポで展開されるストーリーはさくっと読めます。バッタバッタ人が死にますが、倫理や善悪から一線画す不思議な読後感は新本格ミステリならではという感じの作品。長編を読む準備にちょうどいいと思います。

 

6. 木製の王子

だいぶ麻耶ワールドに慣れてきたころだと思うので、ここでいよいよ長編にチャレンジしてみましょう。

この作品もわりと従来の本格ミステリ手法に則ったオーソドックスな雰囲気の作品ですが、分刻みのアリバイ崩しに動機のエキセントリックさにこれぞ麻耶作品!と唸れます。

この作品の探偵役は木更津です。あと如月烏有というキャラクターも登場しますが、彼の経緯に興味を持たれた方は彼が主役のシリーズの一作目である夏と冬の奏鳴曲にスキップするのもアリかもしれません。

 

7. 翼ある闇〜メルカトル鮎最後の事件〜

デビュー作です。長編です。このあたりから徐々に歯応えが増していきます。タイトルが不穏ですね?最後とはどういう意味なのかは皆さんの目で確かめていただくとして…

蒼鴉城という山奥の洋館で巻き起こる連続殺人にメルカトルと木更津の両探偵が挑みます。さながらメルカトルvs木更津という対決構図で、事件の行方とともに二人の推理合戦にも注目です。予想もつかない衝撃の結末に度肝を抜かれちゃってください。あとがきにデビュー当時のエピソードが書かれている新装版がオススメ。

完全に余談ですが、蒼鴉城は麻耶先生の出身である京都大学ミステリ研究会の会誌の名前でもあります。

 

8. 化石少女

長編が続いたので小休憩。化石が大好きな破天荒なお嬢様とそれに振り回される一般人の僕が織り成す学園ミステリの短編集です。

お嬢様と僕の二人だけが在籍する古生物部が、実家の力関係を背景にした生徒会の勢力争いに巻き込まれたり、廃部寸前の零細部活動同士が部の取り潰しを免れるため手を取り合って奔走するなど青春学園ブコメっぽい一面もありますが、しっかり(?)殺人事件も起こります。

はちゃめちゃな推理を繰り出すお嬢様と翻弄されっぱなしの助手役と真相やいかに?といった内容で、すっきりしない後味に感じるかも…

 

9. あいにくの雨で

長編です。ここからちょっと変化球の変化の度合いが大きくなっていきます。

化石少女に続きこちらも学園ものです。とんでも生徒会が出てきたりわりと青春ミステリっぽくライトな感じで進みますが、一筋縄ではいかないのが麻耶作品ということをここまで読破された方ならもうよくご存知ですね?常にカタストロフィに備える心構えをこの作品で身に付けましょう。

 

10. 鴉

麻耶作品の中でも1、2を争う長編作品。山奥にある独自の掟に支配されている小さな村に迷い込んだ兄弟の物語です。

閉鎖的で閉塞的な環境下で起こる事件は、横溝などを彷彿とさせる本格探偵小説のようなものものしい雰囲気で進みます。主人公の所在なさや謎めいた言動も相まって提示されるすべてのピースが物語を不安定に揺らしながら拡散させますが、結末に向け点在するエピソードが瞬く間に収束される様はまさに圧巻の一言。

メルのルーツが垣間見えるところもアツい。

 

11. 神様ゲーム

神様を名乗る少年・鈴木くんと同級生のぼくの物語。あなたは神を信じますか?

大人も子供も楽しめる本格ミステリという理念のもと創設された講談社のレーベル「ミステリーランド」向けに書かれた作品になります。つまり、子供向けの作品です。麻耶先生はこれを少年少女に向けて書かれたわけですが、それを踏まえて読むと正直麻耶先生の正気を疑わざるを得ません(もっと恐ろしいことに、麻耶先生はサイン会や講演会などで拝見する限り穏やかで優しそうな方だということです…)

実質子供向けなので文章はするする読めちゃいますが、内容は大人も裸足で逃げ出すくらい容赦のないロジックでぶん殴ってきます。本格の前に大人も子供もないのだ。

途中であまりの不穏に動悸がしてきたら即座に本を閉じてください。大丈夫です。まったく問題ありません。ラストに納得いかない方はネットでいろいろ考察されている方がいるので是非検索してみることをおすすめします。

 

12. さよなら、神様

神様ゲームの続編です。こちらは短編集になります。相変わらず絶好調の鈴木くんです。

基本は犯人が一番はじめに提示される倒叙スタイルでお話は進みます。(古畑任三郎スタイルです)

やりきれない結末が多めですが、神様ゲームのすぐあとに読むと不条理にある程度耐性がついているはずなので、純粋にロジックを楽しめるでしょう。なお間を空けるとその保証はできませんのであしからず🖤

麻耶は過剰摂取に限りますので、間を置かずガンガン読みましょう(ただ麻耶先生はかなりの寡作なので新作を読む時はいつもかなりのメンタル調整が必要なのが難点です…)

 

13. あぶない叔父さん

短編集。このあたりからギアがもう一段階上がります。高校生の主人公となんでも屋の風変わりなおじさんを軸に田舎町で起こる様々な事件のお話です。麻耶作品の中では珍しい脱力系(たぶん)

この作品に関しては何をいってもネタバレになってしまうのであまり言えないのですが…あえていうなら、ツッコミ不在の展開にモヤモヤするかもしれません。心の中で元気よくツッコミながら読むのがいいと思います。

 

14. 隻眼の少女

水干姿の美少女探偵、みかげの物語です。

本格ミステリ大賞日本推理作家協会賞をW受賞した作品です。実は麻耶先生は挑戦的な作風が強いせいか、デビューして以降20年もの間無冠だったのですが、この作品ではじめて賞を獲ったんですよね。へー、賞を獲った作品ならいつもより読みやすい作品なのかな?と思われるかもしれませんが、実はこの賞はどちらも同業者であるミステリ作家から選ばれるものです。…言いたいことは伝わったでしょうか?

あくまでフェアではありますが、これまで以上にミステリの根幹に対する挑戦的な作品です。私は最初に読んだ時ジャーマンスープレックスをかまされたような衝撃を感じました…麻耶先生にジャーマンスープレックスをかまされたい方は是非。

 

15. メルカトルかく語りき

タイトル通り、みんな大好き銘探偵メルカトル鮎が大活躍する短編集。美袋くんも出るよ!

文庫版に『ドMなミステリファン、快感絶頂!』というショッキングピンクの帯がついて我々はドMだったのか…?と麻耶ファンをざわつかせた作品。まあ麻耶先生の後輩である同じくミステリ作家の円居先生曰く、麻耶先生はこれまで会った中で一番のドS野郎(原文ママ)とのことなので、麻耶ファンがドMというのはあながち間違いではないのかもしれませんが…(笑

ともかく、著者自身収録作品を「鬼っ子たち」を称するほど実験要素がとても強く、好き嫌いが特に顕著に分かれる作品かなと思います。隻眼の少女を乗り越えたあなたならきっと楽しめる…はず?

 

16. 夏と冬の奏鳴曲

如月烏有シリーズの一作目です。長編です。心理描写が多いためストーリーの進展はゆっくりめ。個人的に烏有シリーズは青年の葛藤がベースになっているため作風も少し違うように感じます。

特にこの夏と冬の奏鳴曲は、世界観も他の作品に比べて難解なため一見完全に破綻しているようにしか見えませんが、読み返すと実に丁寧に伏線が張り巡らされていてきちんと計算されたカタルシスだったことが分かるでしょう。二度読み必至。

 

17. 螢

10年前に主が一晩で7人もの人を殺したという事件が起こった山荘で、オカルトサークルの大学生が合宿を行うが、そこでサークルのOBが殺されるという事件が起こります。

ホラー調で進むストーリーは最後まで陰鬱な雰囲気。名探偵がズバッと事件を解決!という作品ではないですが、ありとあらゆる本格ミステリの技巧がこれでもかと詰め込まれている、これも奇妙な読後感を味わえる作品だと思います。

身構えてても気付けば一本背負いが綺麗に決められている…そんな感覚がそろそろクセになってきたのではないでしょうか?これであなたもドMなミステリファンの仲間入りです!おめでとうございます!

 

18. 痾

如月烏有シリーズ2作目。夏冬を読まれたら分かると思いますが、まさかの続編です。

麻耶先生きんぎょ注意報好きなのかな…え、きんぎょ注意報知らない?知らない方がいいこともあるよね!メルも出るよ!

 

以上、非常に長くなってしまいましたがいかがだったでしょうか?

少しでも面白そう!読んでみようかな?と思っていただけると嬉しいです。

一応オススメ順としましたが最初にもちょっと書いた通り絶版もかなりあるので、あくまでご参考まで…

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

最後になりましたが、ドラマ盛り上がっていきましょう!