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おそ松さん21話「麻雀」回から始める麻雀講座~第三回~

前回更新から気付けば一か月以上経ってしまっていました…なんということでしょう…

おそ松さんのない新年度は寂しいですし仕事は死にそうですが、公式の燃料投下の頻度は相変わらずで松ロスは全然ないですね。特にダ・ヴィンチの乙なごRと舞城のまさかの松が!実はもう20年弱新本格ミステリファンをやってるんですが、まさかのコラボに垂涎というかもう狂喜乱舞で…松すごい松…

乙なごはさすがの手腕と言わざるを得ない出来だったし、舞城の九十九十九松は咀嚼するのに九十九十九から読み返したりと、講談社文三に青春のほとんどを捧げた身としていろいろ感慨深くてですね。また、乙なごからなごみ探偵がミステリと探偵の定義を考えるのにうってつけのギミックだということにあらためて気付かされて、なごみ探偵をベースに探偵の機能的意義、特殊能力が付与されているタイプの探偵の能力適用範囲、物語内の順位における視点の高さと役割の関係性、真相の扱いなどについて考えたりしていました。大好きなミステリと大好きな松を一緒に考えることができるとは思っていなくて本当に予想外の幸せに打ちのめされていました。松すごい…

その間に麻耶先生の講演会があったり仕事が超絶忙しくて精神的に死んでたりしてたら気が付いたらGWだったというわけです。そのGWも親戚付き合いなんかでバタバタしてたら終わっちゃって…あちゃー。まぁこの麻雀講座自体はあとこれ含めて2回くらいなので夏前には終わらせられるかと…もうちょっと筆が早かったらな~

気を取り直して十四松のターンから麻雀講座の続きを始めます。

 

十四松のターンは本当に情報が多かったです。口に出さないだけで十四松はこんなにもいろいろ考えているキャラであることが麻雀を通じて明かされました。この情報を踏まえるとこれ以前の十四松の行動がまた違った側面を見せるというわけです。わずか数十秒の十四松のターンだけでこれまで見ていた風景が一変する…このシーンに限らずおそ松さんでは作中でこれが何回も起こりそのたびに翻弄されていました。しかし、いわゆるどんでん返しが何回も起こりつつもそれが全体を通じてキャラクターが破綻せずに成立しているのです。新しい情報が出るたび前の話を見返すとまったく違った意味や関係性を見出すことができるため、本放送があった頃は本当に本編を追うので精一杯でかなりのリソースを奪われていたなぁ、とこの十四松のターンを振り返るにあたり改めて感じました。本当にすごい作品だったな~と思います。

(七筒……?オリたな)

トド松の捨て牌に対する十四松の感想です。ここは現物の七ピンだということと、トド松の打牌スタイル(他家(ターチャ/自分以外の面子(メンツ/ゲームに参加している人)のこと)が聴牌すると勝負をオリる)から妥当な判断だと言えます。

(今のうちに立直者の現物を切っておいて、後々追いかけ立直が飛んできそうな親に対しての危険牌を先に処理したんだね)

この台詞から十四松もトド松の読みと同じくチョロ松があがりに近い状態であると考えていることが分かります。立直者の現物が追いかけ立直の危険牌になるという考え方についてですが、先行リーチの現物待ちというのはリーチをかける/かけないを問わずわりとセオリーです。というのも、立直はいったん宣言すると待ちを変えることができなくなります。つまり、立直後に他家が聴牌していかにも危険そうな牌をツモってきてもそのまま捨てなければならないということです。立直した人はその牌ではあがれないのでもし立直者の現物で待っていて立直者がその牌を引いたらどんなにあからさまな待ちでも確実に振り込んでくれるというわけです。また、もし黙聴(リーチ宣言せずに聴牌している状態)の場合だと、他家は基本的に立直者に意識が向きやすいため立直者の現物は切られやすいという側面もあります。

(にしても、気になるのはドラがどこにあるのか…七対(チートイ)ドラドラだから、簡単にオリるわけにはいかないけれど…)

十四松の手牌は3ピンをツモってきた状態で以下のようになっていました。

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なんと七対子(チートイツ)聴牌です。しかもドラ(この局では8ピン)が二枚も!

前回トド松の手牌から役作りの基本について説明しましたが、この七対子という役は頭2枚に刻子もしくは順子4組という枠組みからは外れ、対子(対子)が7組という役になります。対子が七という役の名そのままですね。この役は作りにくい割に2翻でそんなに高い手ではないのですが、捨て牌からあたり牌を読むのが極めて困難なのでロンしやすい手です。前回、前々回で筋について説明しましたが、ああいった読みがこの七対子についてはまったく意味を為しません。

十四松の手牌は七対子ドラ2なので4翻、もしツモあがりであれば5翻の満貫(8000点)手です。この段階で立直をかけていないということは黙聴でいくつもりなのでしょうが、もし立直をかけて裏ドラが乗れば自動的に3翻プラスされますのでロンでも7翻で跳満(12000点)でかなりいい手ですし、まだ早い段階でこの手を聴牌できる十四松は持ってるな~という感じですね。

(立直者は三巡目にドラ表の7ピンを手出し…で、その後に一萬四萬…つまり、あの7ピン切りで、ドラの対子を固定したんじゃないかな)

ドラ表というのはドラ表示牌のことです。

ここはおそ松の捨て牌から十四松のおそ松の手の推理になります。これまでのチョロ松、トド松とは少し違った視点で、ドラの位置を気にした推理となっています。ここで再度おそ松の捨て牌をみてみましょう。

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7ピンを手出しとは、7ピンはツモしてきた牌ではなくあらかじめ手元にあった牌を捨てたということです。序盤から順子にしやすい9ピン7ピンを立て続けに捨てているということは、ドラである8ピンがすでに頭として2枚あるからでは…という推理です。(もし8ピンがまったくなければその後に一萬、四萬を切っていることからそちらを優先的に切ってしばらくドラの順子待ちをするのが妥当だし、すでに一枚ある状態であれば順子をわざわざ崩すことは通常ないと思われるので)

(ってことは…メンピンドラドラで満貫?それか、タンヤオがついて、裏まで乗れば跳満まで…)

このあたりの推理はチョロ松と同じですね。

メンピンドラドラだとメン=立直=1翻、ピン=平和=1翻、ドラ2=2翻で4翻です。5翻以上で満貫は確定しますが、実はそれ以下の翻数でも満貫となる場合があります。これは符という点数計算が関係しますのでそのあたりを少し説明します。

平和という役の時にも少し触れましたが、麻雀には翻のほかに符という概念があり点数に関係してきます。この符計算がなかなか厄介で覚えにくく、役をようやく覚えたのにまだ覚えなければならないことがあるのか!と麻雀の敷居を上げている最たるところではないかと思います。仲間内だけでやる際は翻数だけでゲームする場合もよくありますし、誰かひとりでも符計算出来る人がいれば任せてしまうという手もあるので、肩の力を抜いて読んでいただけるといいかなと思います。

では符の計算方法について。符、というのは出来上がった手をどう作ったかによって変化する点数です。ポイントはおもに4点で、面子構成、頭に使われている牌の種類、待ちの形、あがりの方法です。基本的に作るのが難しいほど符が多くなり点数が高くなります。例えば、両面待ちと単騎待ちであれば両面待ちは0符なのに対し単騎待ちは2符になるといった具合です。

では、チョロ松(親)の手牌があがったと仮定して符計算がどのようになるか見てみましょう。

まず、7ピン切りした時点で以下のようになっていました。

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この状態だとまだ一向聴なのでここから最短手であがりを目指すとして、符が最大になる場合と最小になる場合を例にとって符計算について説明します。

■符が最大になる場合

一度も鳴くことなく手を作り、2ピンと南でシャンポン待ちし頭とし南でロンした場合符は最大になります。

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まず、あがった時点で自動的にもらえる副底(基本符)20符がつきます。さらに一度も鳴かずロンした場合、門前加符で10符つきます。

次に面子構成の符を加算していきます。一萬二萬三萬、4ピン5ピン6ピンの順子が2組、客風牌(チョロ松は親=自風は東であるため南は客風牌となります)である南の暗刻が1組、發の刻子が1組、2ピンの頭となります。暗順子(鳴いていない順子のこと)は0符、ヤオ九牌の暗刻は8符、数字牌の頭は0符になりますので、0符×2組+8符×2組+0符=16符になります。

両面待ちの形は2符、ロンあがりは0符。

以上すべてを足し合わせると48符となり、切り上げで50符となります。

■符が最小となる場合

符が最小となる場合は順子を鳴いて作り、2ピンと南でシャンポン待ちし2ピンでロンした場合です。

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まずあがりの基本符が20符。

鳴いているので門前加符は0符。

面子構成の符は一萬を鳴いて作った明順子が1組(0符)、4ピン5ピン6ピンの暗順子が1組(0符)、發の暗刻子が1組(8符)、2ピンでロンするため2ピンの明刻子が1組(2符)になるので、合計10符。

待ちはシャンポンで0符。

ロンなので0符。

すべて足し合わせると30符になります。

役の翻数と符が分かれば得点が計算できます。麻雀の基本点は以下の計算式で算出されます。

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例えば2翻40符の役をあがったとすると、

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基本点は640点となります。この基本点をベースに各人の払いが決まります。

子がツモの場合は他の子2人は640の10の位を切り上げて700ずつ、親は640の倍の1280で10の位を切り上げて1300払いになります。

子がロンの場合は基本点の4倍を振り込んだ人が払うことになります。640×4=2560で10の位は切り上げなので2600点払いになります。

親がツモの場合は基本点の2倍を3人等分払いになるので、640×2=1280。10の位を切り上げて1300点を3人とも払います。

親がロンの場合は基本点の6倍を振り込んだ人が払います。640×6=3840で10の位を切り上げて3900点払いになります。

上記の計算をすれば点数は導き出せますが、いちいち計算するのは面倒なため役の翻数と符から点数が分かる点数早見表を使うのが一般的です。(「麻雀 点数早見表」と検索すれば親であがった場合の点数表と子であがった場合の点数表がセットになったものがたくさん出てくると思います)

点数計算については以上になります。繰り返しますが、上記を完璧に理解できなくても麻雀はできますのでご安心ください。ネット対戦やゲームだと自動で計算してくれますしね。ただ、点数の内訳を理解しておくと自分の作ろうとしている手がどのくらいの点数になりそうで、トップとの差を埋めるためには何点必要なのかなどがわかるようになり、より戦略的にトップを狙うことができるようになります。

話が大分逸れました。十四松のモノローグに戻ります。

(でもな…そうなると何で親は押したんだろう?ドラやダブ東はないはずなのに…)

ここからはチョロ松の手の推理になります。押したというのは、十四松もトド松同様チョロ松の捨て牌を強気で勝負に行ったと思っているということです。

ドラがないというのはドラはおそ松が持っているとこの前に推理していたからですね。ダブ東とは役のことです。チョロ松は親なので自風は「東」になります。親から反時計回りに東西南北と自風が割り振られます。自風の東西南北の字牌を3つ集めると役になります。さらに、場風というものあります。場風は東場と南場の2つあり、東場のときは東の刻子が、南場のときは南の刻子がそれぞれ役になります。今は東一局なので東場、さらにチョロ松は親で自風は東なので、もしチョロ松が東の刻子を持っていたとすると、場風と自風で2翻となり、手早くあがれる割に2翻つくお得な手です。しかし、十四松がすでに東を2枚持っているので、チョロ松が3枚持っていることはありえません。

(あっ、もしかして、結構筒子に染まってるとか?ううん、ドラはあっちかも!)

染まっているとは手牌が筒子ばかりで揃えているということです。ある種の牌ばかりで揃えることを「染め手」といいます。チョロ松の捨て牌に筒子はないため十四松はこう推理したのでしょう。染め手は翻数が高くなるので狙われることが多いです。さらに、今回筒子の8ピンがドラであるため、筒子で染めつつドラも多数抱え込んでいる高い手を作っているんじゃないかと推理し、結局安パイの北切りとなったわけですね。(まぁすでに場に3枚出ている北は安牌というだけではなくあがり牌としても死んでいるのでここはノータイムで北切りでいいと思うんですけどね(笑))

 

<十四松:打北>

 

このあとおそ松がツモしますが一発はならず、その後も結局誰もあがらず流局となります。さて、おそ松はどんな手役だったのか。 

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「リーのみのペン3ピン!」

役は立直のみでかつ3ピンのペンチャン待ちだった、ということです。では今回説明した点数計算でこの手役を計算してみましょう。

まず役ですが立直のみなので1翻。

ロンでもツモでも40符なので1翻40符になります。

おそ松は子なのでロンであれば振り込んだ人が1300払い、ツモなら立直と面前自摸和で2翻40符になるので子2人が700、親が1300の払いになるので計2700になりますのでツモなら少し点数が高くなりますが、それでもあまり高い手役ではありません。つまり、安い手役に全員が翻弄されていたということで、やられた!となったわけです。

 

 

以上でようやく東一局が終わりました。あとは打ち筋の説明になりますので、この講座もあと1回で終了です。な…夏までにはなんとか…

いやーそれにしてももう5月も終わっちゃいますよ。びっくりです。明後日はついにカラ松一松のドラ松ですよ。何がぶっこまれるかわからないこの怖い感じ、久々に本編放送中を思い出しています。毎週この不安定よく乗り切ってたな…となんか感心してしまいました(笑)いや、楽しみですけどね!

しかし、この記事を書くにあたり久しぶりに21話見直したんですが、やっぱ最高に面白かったですw

ではまた次回!

 

 

麻雀牌などの素材は下記よりお借りしました。

http://majandofu.com/mahjong-images